2017年11月29日水曜日

Seven Squeeze! (2017-11-20)

11月11日(日)に台湾式マッサージを受けても体調は好転しなかった。平日は仕事帰りの電車で酔って気持ち悪くなってしまう(自分自身がキモくなるという意味ではない)。iPhoneや本を見るのをやめても焼け石に水。18日(土)は外にいるだけでしんどかった。困ったときの葛根湯を服用して12時間以上の睡眠を取ったが、ほとんど治らなかった。19日(日)には頭痛がひどくなった。バファリンで何とかごまかして、カラダ・ファクトリーに駆け込んだ。元々、体調がこうなる前から予約していた。武道館の前日は身体を整えるタイミングとして最良だろうと思っていたのだ。結果的にその通りになった。この体調で明日を迎えるわけにはいかなかった。症状を訴えると、先生は私の首と顔を中心に歪みを調整してコリをほぐしてくれた。

「何か、上に来るんですかね? 僕、昔は腰が痛くて、それが治ってきたら背中になって、今度は頭で…」
「よく言われるのは、いちばん悪いところがよくなってくると、二番目に問題のあるところが浮き彫りになってくるということですね。もともと腰が悪かったのがよくなって背中に来て、今度は背中がよくなってきた分がこうやって頭に集中しているんでしょう」

「おそらくですが、最大の原因は眼(の疲労)だと思います。電車に酔うのは、そこから三半規管に影響が出ているんでしょう。眼と耳と鼻はつながっていますから」

最近カラダ・ファクトリーに通うようになって分かったのだが、身体の慢性的な張りやコリを治すには骨盤や骨格の歪みを調整する必要がある。単なるほぐしのマッサージだけでは一時しのぎだ。しばらくすると再発する。『なには友あれ!』(モーニング娘。)、19日(日)に受けたわずか40分の施術で問題は解消した。明らかに楽になったのである。電車に酔わない、頭痛のない、しんどさのない『新しい私になれ!』(スマイレージ)という願いは叶った。一日を楽しむのに支障をきたさない状態で月曜日を迎えることに成功した。危なかった。滑り込みセーフ。カラダ・ファクトリーのN先生が救世主。次に行ったときに心からのお礼を言いたい。

今日はグッズ販売が13時半から。当然その何時間も前から列はできる。昨年の武道館ではグッズを諦めたが、今回は日替わりを買う。今日は東京都に住むギャンブル依存症のロリコン、中島(仮名)と一緒に観る。彼と11時に新大久保駅の前で待ち合わせる。10時半頃、電車が遅れているから到着が11時18分になるという連絡が中島から入る。既に新大久保にいた私、風月堂に入る。チョコレート・ケーキとホット・コーヒーを頼む。800円。私が入った時点で他に客がいない。後から二人入ってきた。ケーキ、おいしい。Anker PowerCore 20100でiPhoneを充電する。Hunter S. Thompsonの“Songs of the Doomed”をカバンから出したが惰性でTwitterのTLを眺めていると中島が着く時間になって、結局は本を開かなかった。新大久保駅前のパチンコ屋の前で中島と落ち合う。彼は前に会ったときから髪がだいぶ伸びて椎名誠さんのようになっていた。私は中学生の頃、椎名誠さんの本が大好きで、たしか40冊くらい読んだ。ナングロ・ガル。中島はサマエボウジ1,200円。私はネパールローカル料理セット1,300円。私はいつもサマエボウジを頼んでいるので、店員さんはサマエボウジを私の前に置いた。違うと言うとびっくりして笑っていた。サマエボウジはおととい食べたばかりので、たまには違うものにしたかったのだ。

13時頃に武道館の前に着いてグッズ列じゃ「モロ最後部な奴ら」(ZEEBRA, “MR. DYNAMITE”)になった。中島という話し相手がいたし、何より中からリハーサルの音が漏れてきたので待つのは苦ではなかった。いわゆるネタばれではあるが、そもそもJuice=Juiceは持ち歌の数が限られているのでセットリストに驚きが介在する余地はほとんどない。『イジワルしないで抱きしめてよ』、“Fiesta! Fiesta!”、“CHOICE & CHANCE”、『地団駄ダンス』、『愛・愛・傘』、『東京グライダー』、『背伸び』、Ça va ? Ça va ?等が聞こえてきた。『地団駄ダンス』が漏れてきたときは嬉しかった。言ってみればイロモノの曲なので、一定の期間が終わればコンサートでやらなくなっても不思議ではなかったからだ。℃-uteの“The Power”も聞こえてきたときは、つばきファクトリーが前座のリハーサルをしているんだと思った。売り場に近づく。START POINTに雇われている案内係たちは不慣れなようで、勝手が分かっていない。窓口によって売っているものが違うようだ。売り場の手前にいた男の係員に日替わり写真はどこで買えばいいのかを聞いたらあたふたし始めた。不憫だったので「分からなかったらいいです」と言ったらすみませんと謝ってきた。その先にいた女の係員が「グッズによって列が分かれています」と言ってきたので「どう分かれているんですか?」と聞いたら答えられず、目が泳いでいた。彼女は私が窓口に並んでいると「そこはグッズ列に並ばないと行けません」と言ってきた。「並んでここに来たんです」と返した。13時から3時間近く並んでいたんだよと語気を荒げそうになったが、怒りを抑えた。労働者が労働者を責めてどうする。

「こういう派遣の人たちは歯の欠損率が高いんですよね」
「あー、何かそういう記事を読んだことがある。お金がなくて歯医者に行けないとか」

「みんな派遣なのかな? いつもいるリーダー的な人もいてね、そういう人たちはよく分かってるんだ。彼らも正社員じゃないのかな?」
「いやあ、正社員にはしないでしょう」

15時40分くらいに購入を終えた。DVD MAGAZINEのVOL.14と15。宮崎由加さん、宮本佳林さん、高木紗友希さんの日替わり写真。コレクション生写真3枚。その時点で日替わりの売り切れはなかった。コレクション生写真の内訳は梁川奈々美さん、金澤朋子さん、植村あかりさんだった。当然のように宮崎由加さんは当たらない。写真をアルバムに収め、中島と神保町方面に歩いた。17時までランチをやっている中華料理店に入ると、店主らしき紳士に何で来たんだというような顔で出迎えられた。メニューの品切れが多く、二つの料理を組み合わせられるコースも選択肢が炭水化物×炭水化物しかない。『炭水化物が人類を滅ぼす』(光文社新書)のである。話にならない。店を変えることに決めた。「また今度にします」と言うと、店主はそうだろう、むしろその方がこっちも助かるという顔で気持ちよく送り出してくれた。二度と来ないだろう。そこから10分ほど歩いた中華料理店に入った。あんまりおいしくなかった。ニラ玉は、自炊といえば納豆ご飯くらいしか作らない私でも作れそうなレベルだった。フェイクな飲食店。フェイクな町。池袋とは大違いだ。

17時半くらいに武道館の中に入った。A8ブロックの一番うしろだった。これはどうでもいいことだが、私は高校のときのクラスがA8組だった。A7ブロックを挟んでサブ・ステージがある。なかなか見やすそうである。前座はつばきファクトリー。彼女たちが今日のステージに立つのは朝の風月堂で知った。迂闊だった。事前に知っていれば小野(瑞)Tシャツを持ってきていた。周りを観るとちらほらつばきファクトリー構成員の名字が印刷されたTシャツを着ている人がいる。つばきファクトリーの衣装は『ハナモヨウ』。各人の自己紹介の後、就活グリーティングとサンライズ・ジャンプを一緒にやってくださいという岸本ゆめのさんの前振りで『就活センセーション』と『初恋サンライズ』が披露された。ヘルニアを抱える浅倉樹々さんは欠場。曲は盛り上がり、いい雰囲気だった。℃-uteのさいたまスーパーアリーナ公演の前座の、どこか冷めた感じとはだいぶ違った。Hello! Projectメンバーズがいつも座るエリアには、たしか二列目のこちらから見て右から三番目に牧野真莉愛さんがいらっしゃった。姿勢よく、微動だにせず、一人ポツンと真顔でお座りになっているお姿に気品を感じた。牧野さんの右上、二列後ろだったか、にはこちらから見て左から井上玲音さん、浜浦彩乃さん、広瀬彩海さんがじゃれ合っていた。浜浦さんは顔の大半をマスクで隠しているのに一目で判別できた。あとはHello! Project研修生。前田こころさんと西田汐里さんといった、『僕たち可憐な少年合唱団』で見た人たちもいた。開演の直前くらいにアンジュルムがゾロゾロ入ってきた。

コンサートが始まると、Juice=Juiceはサブ・ステージから登場した。一定数の観客はすぐには気付かず、メイン・ステージの方を眺めていた。全身白の衣装で、“Wonderful World”。これは2016年11月7日(月)の武道館公演の最後の数分間の再現のようだった。あの時間の続きのような感覚を覚えた。この曲といえば、観客の合唱である。はじめから我々に声を出させてぶち上げていく作戦かと思ったが、今回は合唱部分はなかった。他の違いとしては、歌詞が英語ヴァージョンだった。この曲における英語の発声は、金澤朋子さんが一番いい。この曲が終わると昨年の余韻を振り切るかのように衣装を変える。外側の衣装を下→上という二段階で脱いで、中には上下に分かれたお腹を出す衣装。Beyond the Beyondツアーの衣装と同じ方式であった。今回はさらにその状態から上にヒラヒラした布を羽織ったり、別の衣装に着替えたりしてくれた。武道館公演ではさすがにライブハウス(和製英語)公演よりも衣装が多く、目で大いに楽しませてくれた。海外公演の思い出映像を流してから“Ça va ? Ça va ?”で出てきたときの衣装は手が込んでいて、思わず双眼鏡で凝視した。黄色と黒のチェックのような模様が織り交ぜられていたのだが、もしかしてボルシア・ドルトムントのチーム・カラーを取り入れたのか?と思った。ドルトムントはワールド・ツアーの開催地の一つだったので。おそらくそういうわけじゃないだろうけど。全体を通してお腹を出してくれる時間帯が長かったのは嬉しかった。

Juice=Juiceがサブ・ステージに来たときと、ステージの右端(上手)の2階客席近くに来たときは近さを感じられた。そこからさらに双眼鏡で見ると大迫力だった。私の位置からはJuice=Juiceを左から、後ろから、前からとさまざまな角度から堪能することができた。去年はあえて双眼鏡を持参せず、ひたすらヴァイブスをぶち上げることに専念した。今日は要所では双眼鏡を使い、声を出すところではしっかり出す、バランスの取れた鑑賞スタイルを採った。私の左が空席だったので場所を0.5席分くらい広く使えて快適だった。去年に比べて今日の方が、Juice=Juiceも我々も地に足が着いた公演だった。経験者の五人(宮崎由加さん、宮本佳林さん、高木紗友希さん、植村あかりさん)の落着きが、主役として武道館に立つのが初めての二人(段原瑠々さんと梁川奈々美さん)の緊張をうまく包み込んでいたように思う。2016年11月7日(月)はひたすら感情の高ぶる公演だった。私はあのコンサートのソロ・アングルDVD(ファンクラブ会員向けに販売された、各メンバーだけを追いかけたDVD)の宮崎由加さんヴァージョンを所持している。このブツを再生すると始まった直後から彼女が涙ぐんでいるのが分かる。今日は終盤に段原瑠々さんが感極まっていたのを除けば、メンバーが涙を流す場面はほぼなかったはずである。昨年の武道館はMISSION 220というストーリーの締めくくりだった。その分、忘れられない、感動的な時間になった。一方で、時間がたってから動画で観たときに完成度が高いと感じるのは今日のコンサートだったと思う。Blu-rayで観るのが楽しみである。

よくも悪くも、ではなく、よい意味で「普通の」コンサートだった。もちろんクオリティが標準的だったとか、凡庸だったという意味ではない。今回はアンコールが一度で終わったが、これは盛り上がりの不足というより、むしろ「普通に完璧なコンサート」であったことの証左と受け止めるべきである。アンコールは重ねればいいってもんじゃない。今日のアンコールは、はじめは「ゆかにゃ、ゆかにゃ、朋子、朋子…」と年齢順にメンバーの名前を形式で沸き起こったが、浸透せずグダグダになった。武道館のような大きな会場でやるには難易度が高すぎた。結局、会場を支配したチャントはいつもの「ジュース! もう一杯!」だった。そのアンコールのチャントのせめぎ合いに、最後のサツアイで触れる宮本佳林さん。ファンの思いを感じ取り、泣いてしまったという。宮本さん曰く、次に武道館で公演をする機会があれば、年齢順に名前を呼んでほしい。やなみん(梁川さん)はカントリー・ガールズでのキャリアがあるので、最後はるるちゃんにしてほしい(我々のチャントは「るるちゃん」だが宮本さんは「るーる」と言っていた)。

アンコールといえば、「ジュース! もう一杯!」のチャントに合わせて小野瑞歩さんと秋山眞緒さんが身体を交互に寄せ合っていた(ジュース!で小野さんが秋山さんに寄って身体をぶつけ、もう一杯!で秋山さんが小野さん側に傾くという風に)。小野瑞歩さんはグレーのスウェットシャツ(最近よくリリース・パーティのリハーサルで着ているやつ)に青系の膝上丈スカート。たしかこっちから見て左に小野さん、右に秋山さんがいた。

前述したように、Juice=Juiceのコンサートでセットリストに驚くことはほとんどない。唯一“The Power”のイントロが流れてきたは観客がどよめいた。私もつばきファクトリーの前座用の曲だと思っていたので、おーって声を出してしまった。久しぶりなのに、乗り方を身体が覚えている。昔取った杵柄。自分は元Team ℃-uteなんだというのをつくづく実感する。過去のクラシックがスピンされてヘッズが活気づくのはつばきファクトリーのリリース・パーティでよくある光景である。なくなったグループの曲を、現存グループがこうやって歌い繋いでいくのは素晴らしいことだ。現行のサウンド・プロデュース体制がまともにアルバムも制作できない人たち(橋本慎さん)である以上、過去の資産を大切にする重要性はますます高まっているのである。11月11日(土)のBeyond the Beyondツアー大分公演で新曲『東京グライダー』と“Never Never Surrender”が初披露された。アプカミに公開された。私は予習しないで武道館に臨むつもりだった(曲の第一印象を現場で得るというのも、それはそれで贅沢な体験である)が、段原瑠々さんが何度も観ておくようにとブログで要求していたので従った。何回か観た感触では『東京グライダー』が好きだった。開演前に中島は、この曲が東京女子流っぽいと言っていた。曲が始まると武道館のモニターに作詞・作曲・編曲の名前が出てきたのだが、編曲は松井寛さんという方だった。私は知らなかったのだが東京女子流の音楽に深く関わっている方らしい。コンサート後に中島から薦めてもらった東京女子流のアルバム“Limited Addiction”を聴いたらとても気に入った。これを書いているのは11月29日(水)だが、25日(土)から毎日一回は聴いている。グルーヴィーで、ソウルがあって、まさに私の好みにドンピシャではまる。その音の世界が単発のシングルやトリプルA面(今のHello! Projectの得意技)ではなく、フル・アルバムの長さに閉じ込められている。今のHello! Projectでは成しえない仕事である。自分の好みにピッタリ合致する作品に出会えたことを喜ぶとともに、Hello! Projectの現状が悔しくなった。橋本慎さんと松井寛さんをトレードしてほしい。Juice=Juiceに“Limited Addiction”をカヴァーしてほしい。彼女たちが歌ったらどう聞こえるのだろうかと想像しながら聴いてしまう。

私はHello! Projectがアルバムという単位で音をプロデュースできないことに対する不満を強く抱いている。ただ、曲単体で見ると良質なシットはそれなりにドロップされている。児玉雨子さん、CMJKさん、中島卓偉さんといった才能がHello! Projectの楽曲に関わるようになったのはポスト・つんく時代の明るい部分である(CMJKさんは最近は出てこないが…)。橋本慎さんの功績として認めるべきであろう。最近のJuice=Juiceだと『この世界は捨てたもんじゃない』が私はとても好きで、公演で聴けないと物足りない身体になりつつある。今日のコンサートでやってくれたのは嬉しかった。“Magic of Love”の大団円で、声を出し切った直後に『この世界は捨てたもんじゃない』が始まったのにはびっくりした。当然のように息を切らさずきれいに歌いきるJuice=Juice。(“Magic of Love”といえば、我々の「ここだよ朋子!」チャントは完全に浸透しているとアリーナの最前線からは感じられた。相当な音量になったのではないだろうか?)

Juice=Juiceらしい、トークはほどほどの、楽曲の波状攻撃だった。トークでいちばん私が笑ったのが、加入当初は先輩が恐かったという段原瑠々さんに「誰がいちばん恐かった?」と高木紗友希さんが聞いて、「やっぱり…金澤さん」と段原さんが答えた場面。え?私?という金澤朋子さんの顔がモニターに大写しになる。(この金澤さんを映すところはバッチリだったが、その他の場面では映像の切り替えタイミングがうまくいっていないことが多い印象を受けた。)「だよねー、普通に考えて」と追い討ちをかける植村あかりさん。最もしんみりしたのが、新メンバーが入るかもしれないと聞かされた際、最初はイヤだったと金澤朋子さんが吐露した場面。素直な言葉は人の心に響く。実際に梁川さん・段原さんと対面してからはすぐに考えが変わったと続ける金澤さん。

『Goal~明日はあっちだよ~』でタオルを振り回すようにJuice=Juiceは要求してきた。この曲ってタオルを使うのが通例になっていたっけ? 恥ずかしながら把握していなかった。ペンライトで代用した(代用できていない)。タオルね…。たしかに一体感は演出できるし絵としては爽快だが、湘南乃風じみたことはやらなくてもいい。

グループの増員に伴って中島卓偉さんが書き直した“GIRLS BE AMBITIOUS”の新リリックはちょっとやっつけに感じた。内容的に、今ははまるかもしれないが、賞味期限が長くなさそうな印象。半年に一度くらい更新していくのであれば理解ができる。

私の前列に、スティンキーな(2012年8月11日に秩父・両神山で11時間の登山を終えた私のような臭いの)紳士がいた。常にそのスメルと対峙しながらの鑑賞となった。でも、昨晩に受けた整体のおかげで体調がよかったし、クリアな頭で、集中してコンサートを楽しむことができた。幸せな時間であった。今日は金澤朋子さんから嬉しい知らせがあった。来年のJuice=Juiceは全国のライブハウス(和製英語)での公演を続けていくのに加えて、4月28日の静岡を皮切りにホール会場を回るツアーを開催する。私はエグゼクティブ会員の限定特別シートで広島に応募し、当選した。あとは静岡と中野に申し込んだ。